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「国民年金保険料を未納のまま払わない」人はどうなるのか

目次

年金をずっと払わなかった人は老後にもらえない・・・だけではすまない

国民年金の保険料をずっと払わないと、どうなるのでしょうか。

「そんなの、老後に年金がもらえなくなるだけでしょ?」

いえいえとんでもない。

国民年金保険料は払わなくても大丈夫、将来年金もらえなくなるだけだから無視でOK という人もよく見かけます。

ですが、ずっと国民年金の保険料を払わないでいると「老後に年金がもらえなくて自分が困る」というだけでは済まず、とても面倒なことになるのです。

役所や年金事務所は教えてくれない、国民年金保険料を払わないと、本当にどうなるかを、法律と社会保険制度の面からご説明します。

あなたは国民年金のこと本当に知ってますか?

国民年金は、20歳になると加入の義務があります。

国民年金の加入は義務であるにもかかわらず、そもそも国民年金はどのようなものなのか、正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。

年金事務所の窓口や、役所の年金窓口で、国民年金について、わかりやすく教えてもらったことがありますか?

あなたは国民年金のこと、どれだけ知ってますか?

まずは、国民年金がどんなものなのか、簡単におさらいしてみましょう。

国民年金といえばコレ「老齢年金」

「国民年金の保険料を納めていないと、老後に年金がもらえなくなる」

これは知っている人が多いと思います。

老後に年金がもらえない人は「無年金者」とよばれます。

払っていなくてもらえなかった。払った月数が足りずに額が減らされた。

そんな話を聞いたことがあるかもしれませんね。

年金というと、老後にもらえるお金が思いつくと思います。

この、老後にもらえる年金は、「老齢年金(ろうれいねんきん)」という年金です。

国民年金の加入者が老後にもらえるのは、老齢基礎年金と呼ばれ、国民年金に原則として40年以上加入した人が65歳から受ける全国民共通の年金です。

払った月数が少ないと老齢基礎年金がもらえなくなる

老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間払うと65歳からもらえる というのが基本の仕組みです。

ただ、40年間すべて払わないと年金がもらえないというわけではありません。

もらえる年金額は、40年間すべて払ったときが上限で、保険料を払っていない月があると、もらえる老齢年金の金額が減らされていきます。

なんと、払った月数が120ヶ月(10年)に1ヶ月でも足りないと、まったく保険料を払っていない人と同じ扱いになり、老齢年金が1円ももらえなくなってしまうのです。

保険料を払ったのに、年金が全くもらえないということは、払った年金保険料がムダになるということです。

さらに、老齢年金の基準になる保険料を払った月数は、厚生年金と国民年金で通算されます。

国民年金保険料を払っていなかったせいで、年金がもらえない上に、会社勤めの時にお給料から天引きで払った年金保険料までも、すべて払い損になってしまいます。

逆に言うと、120ヶ月以上年金を払っているのであれば、すでに老齢年金をもらう資格はあるということになります。

本当に必要な老後の資金は誰にもわからない

「老後のお金は自分でなんとかする」という意見もよく聞きます。

では、いくら準備しておけばいいのでしょうか。

自分が何歳まで生きられるのかは、誰にもわかりません。

だから、実は、本当に老後のお金がいくらあればいいのかは、誰にもわからないのです。

自分では十分な老後資金を用意したつもりでも、思っていた以上に長生きして、貯蓄が底をついてしまう可能性もあります。

一方で、老齢年金は生きている限り支払われる仕組みです。つまり、長生きすればするほどたくさんもらえます。

金融庁のワーキンググループが「老後20~30 年間で約1,300 万円~2,000 万円が不足する」と試算した、「老後2000万円問題」が有名ですが、これも年金をもらう前提です。

年金というと、老後の生活費というイメージかもしれませんが、実際は、「想定以上に長生きした時に困らないようにするための保険」だと思っていたほうがいいでしょう。

最低ラインである120ケ月をクリアして、老齢年金をもらえる状態にしておくのは、老後のために最善の対策だと思いませんか?

明日年金未納を後悔する可能性もあります

年金に未納があると老後困るということはわかっていただけたと思いますが、困るのは老後の話だけではありません。

実は、明日困ることになるかもしれません。

あなたがもらえる年金には、老後にもらえる「老齢年金」の他にも、「障害年金」や「遺族年金」というものもあります。

障害年金や遺族年金は、条件にあてはまれば65歳になっていなくてももらえる年金です。

しかし、年金保険料に未払いがあるとこれらの年金ももらえなくなります。

病気やケガで障害を負ったら障害年金がもらえる

あまり知られていないのですが、病気やケガによって障害を負ってしまった場合には、障害年金がもらえます。

障害基礎年金は、国民年金に加入中に初診日がある病気・けがが原因で、障害者になったときに支給される国民年金の給付です。

障害の程度に応じて1級と2級があり、1級のほうが障害が重く、年金額は2級の1.25倍になっています。

年金未納があると障害年金はもらえなくなる

もしあなたが、重い病気や不慮の事故などで、障害を負ってしまったら、障害の重さに応じた障害年金が支払われます。

障害年金を受け取るには認定とよばれる、いわば審査があり、障害年金は障害の程度によって年金の額が決まります。

さらに、障害年金を受け取るには、加入期間のうち3分の1以上保険料の滞納がないこと、または直近1年間に国民年金保険料の滞納がない事など、保険料の未納がない事が前提条件になっています。

つまり、国民年金保険料の未納があると、不測の事態で障害を負った時にもらえたはずの障害年金がもらえなくなる可能性が出てくるのです。

万が一亡くなったら残された家族に遺族年金が支払われる

国民年金の加入者が亡くなった場合には、残された家族に遺族年金が支払われます。

遺族基礎年金は、国民年金に加入中の人または国民年金に加入していた人で、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人、老齢基礎年金を受けている人や受給資格期間を満たしている人、が亡くなった時に、遺族に支払われる国民年金の給付です。

受けられる遺族は、死亡した人に生計を維持されていたその人の子(18歳の誕生日の属する年度末まで、または20歳未満で1級または2級の障害の状態にある子)または子のいる配偶者です。

年金に未納があると残された家族が遺族年金を貰えなくなる

もしあなたが亡くなった時に配偶者や子供がいた場合、家族の生活を支えるために遺族年金が支払われます。

しかし、遺族年金も、加入期間のうち3分の1以上保険料の滞納がないこと、または直近の1年間に保険料の滞納がないことなどの条件があり、国民年金保険料の未納があると、もらえない場合があります。

生命保険や傷害保険に入っておけば大丈夫じゃないの

もらえるはずのお金がもらえないのは単純にもったいないと思いませんか
国民年金保険料に未払いがあると、老齢年金や障害年金、遺族年金がもらえなくなってしまう場合があります。

つまり、国民年金保険料が未納になっていると、老後だけでなく、死亡やケガ・病気などのリスクに対する備え も同時になくなってしまうことになります。

もらえる年金の半分は税金で負担されています
老齢年金は知っていても、障害年金と遺族年金を知らなかった人も多いと思います。

国民年金は、国が運営する生命保険のような機能をもっています。

しかも、公的年金は、集められた保険料だけで運営されているわけではなく、半分近くは税金が投入されていますので、民間の年金保険では実現不可能な好条件になっています。

そもそも、毎月1万6千円の掛け金で、死ぬまで無条件に年金がもらえる民間の保険は存在しません。

国民年金を未納にするということは、自ら割のいい生命保険に入るチャンスを捨てているといえますね。

年金には頼らないから払わない は通用しない

それでも「老後の資金は自分で準備するし、ケガや病気への備えは保険に入っているから、年金なんて必要ない」という考え方もありますね。

もしかして、あなたも「どうせ年金はもらえないから払い損になる。高い保険料を払うだけ無駄だ」という考え方なのかもしれません。

それでは、「将来年金はもらえなくてもかまわないから保険料は払わない」という選択をすることができるのでしょうか?

残念ながらその答えはNoです。

あなたも私も「老後の年金はいらないから保険料を払わない」という選択をすることはできません。

なぜなら、国民年金は公的な年金制度として法律で加入が義務付けられていて、例外もないからです。

加入が義務付けられているだけではなく、十分な所得があるのにもかかわらず、あなたの意志で国民年金保険料を支払わないという場合には、国が差し押さえなどで強制的に保険料を徴収することができるというルールになっています。

つまり「自分は年金なんていらないから保険料は払わない」という選択は、一切できない仕組みになっているのです。

無視し続けて銀行口座を差押えされた人がいる現実

あなたが支払わなかったとしても、国民年金保険料は強制的に取り立てることができるという仕組みになっています。

実際、銀行預金から強制的に差し押さえされている人が毎日のようにいるのが現実です。

しかし、あなたの周りにも、ずっと国民年金保険料を払っていないという人がいるのもまた事実です。

実は、強制的に取り立てされる人にはある特徴があります。

取り立てされる人と、ずっと国民年金保険料を払っていない人、その違いはどこにあるのでしょうか。

年金を払わないとあらゆる手段で連絡が来ます

国民年金保険料の未納が続くと、未払い分の保険料を支払うように、連絡がくるようになります。

国民年金保険料が未納になるにはさまざまな理由があると思います。

支払っていないため未納になっている場合はもちろんですが、引き落としにしていた銀行口座にお金が入っていなくて、うまく引き落としされなかった場合などでも、年金未納になってしまい、電話による連絡が来る場合があります。

国民年金保険料未納の状態が数ヶ月続くと、電話以外がかかってくるほか、未払い分があることを知らせるはがきなど、郵便物によるお知らせが届くこともあります。

また、電話や郵便などで長期間連絡が取れない場合には、いきなり自宅にやってくる場合があります。

まずは民間企業から年金に関する連絡が来ます

年金保険料が数か月間未納になっている段階の、電話やはがきなどによる連絡は、日本年金機構から民間企業に業務委託されています。

あなたに電話をかけてきたり、はがきや手紙を送ったり、自宅にやってくるのは、日本年金機構からの依頼を受けて、業務を代行している民間企業の職員です。

納付督励~まずは電話や手紙で案内が始まる

国民年金保険料の未払いが数ヶ月続くと、国民年金保険料が未納になっている事が電話や郵便によって通知されてくるようになります。

これは、あなたが国民年金保険料を「自主的に支払う」ことを勧める、納付督励(のうふとくれい)という段階です。

STEP
納付督励
STEP
最終催告
STEP
督促
STEP
差押予告
STEP
差押


この段階では、自宅や携帯電話に電話がかかってくる、封書やはがきで書類が届く、場合によっては自宅への戸別訪問があるなど、様々な方法で未払い分の保険料を納付するように、案内が行われます。

日本年金機構から委託された民間企業の名前で、国民年金保険料に関する電話連絡があったり、未払い分の金額が書かれた手紙やハガキが届いた人の多くはこの段階です。

ハガキや封書で催告状が送られてくる

民間事業者や日本年金機構から、ハガキや封書などで以下のような文章の手紙が届きます。

国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)

あなたの保険料未納期間、金額は右記(納付状況)に記載の通りです。
至急、お手元の納付書でお近くの金融機関またはコンビニエンスストア等で納めてください。
納付書の再発行や納付に関する相談もお受けいたしますので、左記の年金事務所にお申出下さい。

様式はさまざまなパターンがありますが、だいたいこのような内容が書かれています。

電話や封書による案内は民間コールセンターに委託されています
納付督励業務は、日本年金機構から民間事業者への業務委託が行われています。

年金事務所毎に入札で決められた民間事業者によって行われていますので、地域ごとに会社が違います。

金融機関やカード会社、自治体などの督促業務を代行している会社が多いようです。

民間事業者が代行しているのは、電話や文書、面談による納付案内に加えて、保険料の免除・猶予制度の案内、戸別訪問による保険料の収納業務、その他口座振替などの案内を行なっています。

納付書の紛失や残高不足などの場合には、納付書の再発行や口座振替やクレジットカード払いへの変更手続きを依頼することもできます。

電話や催告状が来たら年金事務所に相談したほうがいい

年金の未払があるからといって、借金の取り立てのような連絡をしているわけではありません。

経済的な理由で毎月の支払いが難しいからといって、カードローンで国民年金保険料を払うなどもってのほかです。

国民年金保険料には免除制度があるので、経済的な理由で支払いが難しいなど、具体的な相談がしたい場合には、電話でかまわないので、早めに最寄りの年金事務所に直接相談したほうがいいでしょう。

電話や手紙を無視し続けると特別催告状が届きます

国民年金保険料の未払い期間が半年を超えると、最寄りの年金事務所から特別催告状(とくべつさいこくじょう)が届きます。

特別催告状も納付督励という段階ではあるのですが、差し押さえなどで強制的に国民年金保険料を徴収される一歩手前の、最終催告という段階へ進むリストにあなたが入っていることを意味しています。

国民年金の特別催告状が届いた理由と差押え回避のために今すぐできる事

特別催告状は国民年金保険料に未納がある人に届く手紙です。

国民年金保険料の「特別催告状」は国民年金保険料の未払いが長期間続いている場合に届く通知書で、ただしい読み方は、とくべつさいこくじょう です。

特別催告状は、国民年金保険料が未払の期間が、一定期間以上の人を対象に、住所を管轄する年金事務所から郵送で届きます。

特別催告状の発送は不定期に行われていますが、今までに電話での連絡や催告状と書かれた手紙やはがきが来た人が多いはずです。

国民年金保険料は全額が社会保険控除の対象になるため、12月に送付されるほか、年度末の2月から3月にも集中的に送られる事が多いようです。

特別催告状には未納になっている国民年金保険料の金額が書かれています

特別催告状は、国民年金保険料の未払いが数ヶ月あることを通知書する書類で、以下の様な文面の書類です。

特別催告状
国民年金は、20歳から60歳までのすべての方が加入して保険料を納付する制度です。
国民年金には老後のための老齢年金の他にも、病気や事故で傷害が残った時に受け取れる障害年金や、被保険者によって生計を維持されていた遺族が受け取れる遺族年金があります。
また、国民年金保険料は、所得税および住民税の申告において、全額が社会保険控除の対象となります。
さて、お客様は、下記「納付状況」のとおり国民年金保険料が未納となっている期間があります。
つきましては、未納となっている国民年金保険料を下記の期日までに同封しております納付書により、お近くの金融機関やコンビニエンスストア等で納付してください。
なお、上記期日までに保険料の納付または免除等の申請がない場合は、納付意思がないものとみなして、法に定める滞納処分を開始する場合があります。
滞納処分が開始されると、国民年金保険料に延滞金が課せられるほか、あなただけでなく連帯納付義務者である、あなたの配偶者や世帯主の給料や財産を差し押さえることになりますのでご注意ください。

特別催告状に書かれているのは、まとめると以下のような点です。

  • 年金保険料が未納になっている期間がある
  • 未納分の保険料を期日までに納付すること
  • 無視したり払わない場合は支払う意志がないとみなし、滞納処分を開始する場合がある
  • 滞納処分が開始されると延滞金がかかるほか、あなたや配偶者の財産を差し押さえする

特別催告状の差出人と封筒の色には意味がある?

国民年金保険料が支払われていない場合の電話や郵便、訪問による通知業務(納付勧奨といいます)は、日本年金機構から民間事業者へ業務委託が行われていますので、通常は民間の業者から連絡がきます。

しかし、特別催告状の場合は日本年金機構の年金事務所から、封書で郵送されてきます。

なお、年金事務所から届く封筒の色には赤や青、黄色やクリーム色、ピンクやグリーンなど種類がありますが、封筒の色そのものにはこれといった意味はなく、あくまでも書かれている中身が重要です。

封筒の色で判断せず、開封して中身を確認するようにしましょう。

なぜ特別催告状が届いた? 国民年金の未納が長期間続いているから

特別催告状は、催告状や電話による納付の案内や免除制度の案内を繰り返し行っても、いまだ保険料の未納が続いている人を対象に発送されています。

保険料の長期滞納者や免除勧奨を実施しても免除申請のない者、または強制徴収の選定から除かれた者のうち効果が見込める者を対象として年金事務所から特別催告状を発送しています。

あなたの手元に特別催告状が届いたのなら、これまでにも電話やはがき、場合によっては自宅訪問で、国民年金保険料の納付についての連絡が来ていたはずです。

年金機構から依頼を受けた民間業者がこれらの案内を行っても、何のアクションもなく、国民年金保険料の未納状況が続いているため、今度は日本年金機構から直接、特別催告状が発送されてきたというわけです。

特別催告状には悪質な未納者を探る意味合いも

特別催告状が届く人は、一定期間、国民年金保険料が未納になっている人で、電話や郵便などで連絡が取れていないか、なんの手続きもしていない人です。

国民年金保険料が未納になる理由として、経済的な理由でお金がなくて払えない人と、国民年金保険料を払えるのに払わない人がいますが、日本年金機構にはその理由がわからない状態という事になります。

特別催告状には、国民年金保険料の未納を解消する目的はもちろん、経済的な理由で払えない人に免除や猶予の手続きをさせることで、意図的に払わない人を洗い出す目的もあるといえるでしょう。

逆に言うと、特別催告状を無視してしまうと、実際は経済的な理由で国民年金保険料を払えないのに、意図的に国民年金保険料を払わない人だと判断されてしまうリスクがあるのです。

これが特別催告状を無視すべきではない最大の理由です。

特別催告状を無視してもすぐに差し押さえされるわけではない

特別催告状には、未納のままだと将来的には財産を差し押さえると書かれています。

国民年金の未払いで差し押さえなんてないと思うかもしれませんが、実際に差し押さえは行われていて、しかも差し押さえ件数も増えています。

しかし、特別催告状に書かれた日までに支払わなかったからといって、いきなり銀行預金などを差し押さえされるというわけではありません。

差し押さえは、法律に定める滞納処分であって、いわば国が強制的に国民の財産を取り上げるわけですから、差し押さえが行われるのは最後の最後、いわば最終手段です。

実際にあなたの財産を差し押さえるまでには、厳格で様々な手続きを踏まなくてはいけませんし、差し押さえの対象者には一定の基準があります。

また、差押が行われる前には予告もあります。

特別催告状は、国民年金保険料を「自主的に支払う」ことを勧める、納付督励(のうふとくれい)という段階で、まだ延滞金もついていません。

しかし、特別催告状が届いている時点で、保険料の未納が半年以上続いているはずです。

意図的に国民年金保険料を払っていないのか、経済的な理由で払えないのか、日本年金機構には判断することができません。

払えないからといって放置しておくと、次のステップである最終催告へ進む可能性が高いので油断できません。

払える見込みがない場合は今後の支払いについて相談した方がいい

特別催告状には、あなたの過去2年間の納付状況が記載されてきます。

一括で払えないかもしれませんが、放置してこのまま未払いの保険料が積み重なると、金額も大きくなり、支払いはどんどん難しくなるので、早めに年金事務所に相談しましょう。

特別催告状は、保険料の支払いを求める手紙であると同時に、免除や猶予などの申請をすることを促す意味合いもあります。

年金事務所に相談すると、基本的にはいままでの未払い分を一括払いするように言われます。

しかし、ほとんどの方は数十万円も一気に払えないでしょうから、あなたの経済状況によっては、分割払いにするなどの相談を年金事務所にすることができるようです。

また、経済的な理由で支払いができない場合には免除される制度がありますから、そもそも払う必要がなくなる場合もあります。

源泉徴収票などの所得を確認できる資料を持って、年金事務所に相談してみましょう。

特別催告状を無視し続けた場合には最終催告状が届きます

民間委託事業者からの国民年金保険料納付に関する案内に応じず、国民年金保険料を払わなかった場合には、日本年金機構の年金事務所から国民年金未納保険料納付勧奨通知書(最終催告状)が送付されてきます。

特別催告状を無視したらどうなるかを見てみましょう。

国民年金保険料の最終催告状は見逃してはいけない最後のチャンス

国民年金保険料の未払いが続くと、民間委託事業者からの国民年金保険料納付に関する案内や文書・はがきによる催告状、年金事務所からの特別催告状によって、支払いの案内が行われます。

郵便や電話、訪問などを無視して、国民年金保険料を払わなかった場合には、年金事務所から 国民年金未納保険料納付勧奨通知書( 最終催告状 ) という手紙が送られてくる事があります。

あなたの手元に、最終催告状が届いた場合、まだ強制的に取立てをされるような状況ではありませんが、差押え一歩手前の段階まできています。

もし、最終催告状が届いた場合は、無視してしまったり、日本年金機構からの郵便物を見落としたりしないよう注意が必要です。

国民年金保険料の最終催告状とは

国民年金未納保険料納付勧奨通知書(最終催告状)は、以下のような文面であなたに送られてきます。

国民年金未納保険料納付勧奨通知書(最終催告状)

あなたの滞納している国民年金保険料は下記の未納状況のとおりであり、早急に納付されるよう再三にわたり催告してきましたが、いまだに納付いただいておりません。
このため、下記の指定期限までに納付されない場合は、法の定める滞納処分を開始することとしましたので、同封の納付書により、必ず期限までに納付してください。
滞納処分が開始されると、あなたの滞納している国民年金保険料に年14.6%の割合で延滞金が課されるほか、あなたの財産が差し押さえられる場合があります。
また、国民年金保険料の連帯納付義務者であるあなたの配偶者や世帯主の財産も滞納処分の対象となる場合がありますので、ご注意ください。

いままでに届いていた催告状や、特別催告状と、書かれている内容は同じように見えます。

しかし、最終催告状(さいしゅうさいこくじょう)は、国民年金保険料の自主的な納付を促す最後の通知です。

それと同時に、もし記載された期日までに保険料が支払われない場合は、法に定める滞納処分が開始することの通知でもあります。

年金事務所からの最終催告状を放置するのは危険

うっかり払い忘れていたりするケースもあるので、最終催告状が発行された段階までは、あくまでも法的には「お知らせ」の扱いです。

最終催告状に書かれている日付までに国民年金保険料を支払えば、大事になることはありません。

しかし、最終催告状に書かれている日付までに国民年金保険料を支払わず、最終催告状を無視した場合には大変なことになります。

最終催告状に書かれている 法に定める滞納処分 とは

最終催告状を無視すると「支払の意思が無い」ものとみなされ、日本年金機構の対応が大きく変わります。

最終催告状にも「下記の指定期限までに納付されない場合は、法の定める滞納処分を開始することとしました」と書かれています。

法に定める滞納処分とは、具体的にいうと、銀行口座からの差押など、強制的に取り立てることを視野に入れた、督促(とくそく)の扱いに変わるという事です。

法に定める滞納処分、つまり「督促」の扱いになってしまうと、日本年金機構が保険料を強制的に差押することができるようになります。

また、2年間の時効が止まってしまうほか、現在の未払い保険料に対する延滞利息もかかるようになるので、今よりも大幅に支払額が増えてしまいます。

最終催告状が届くのはどんな人?

国民年金保険料の未払いがあるのに、最終催告状が届く人と届かない人がいますが、その差はどこにあるのでしょうか。

実は、あなたに、最終催告状が届いた場合には、将来的に強制徴収される対象者になっていることを意味しています。

日本年金機構が、強制徴収の対象者としているのは年金保険料を払うことができる資力を持っていながら、度重なる納付督励に応じていない人です。

つまり、最終催告状が届いた人は、日本年金機構からお金があるのに年金保険料を払っていないと見られているという事です。

最終催告状が届く人の基準は?

最終催告状の発行件数は、平成24年度が約7万件で、平成25年度は約7万8千件と、増加し続けていますが、これにも理由があります。

日本年金機構は、平成30年度までに、免除対象となっていない滞納者すべてを督促の対象とする方針です。

平成26年度は、年間の所得が400万円以上で、滞納期間が13か月以上の人を、強制徴収の対象としていましたが、平成27年度からは、年間所得が400万円以上で、滞納期間が7ヶ月以上の人が強制徴収の対象になっています。

また、今後も徐々に年間所得の基準を下げて、強制徴収対象者の基準を拡大していき、平成30年からは全員が強制徴収対象になる見込みです。

もし、あなたに最終催告状が届いたら、すでに差し押さえ対象リストに入っていて、将来的に強制的に国民年金保険料を差押される可能性があることをアタマに入れて行動しましょう。

差し押さえに向けた法的手続きに入った事を知らせる 国民年金保険料の督促状

国民年金保険料の未払いを続けていると届く最終催告状を無視し続け、最終催告状に書かれた期限までに未払い分の保険料が支払われなかった場合、日本年金機構から「督促状」が届きます。

督促状(とくそくじょう)は、未払いの国民年金保険料について法律に定められた滞納処分が開始されたことの通知です。

あなたに督促状が届いた場合、強制徴収の対象者となっていることを意味していて、このまま放置していると財産を差押えされます。

督促状は本人だけでなく親や配偶者にも届く

強制徴収の対象者は「年金保険料を払うことができる資力を持っていながら、度重なる納付督励に応じていない人」です。

このころには、連帯納付義務者である、同居の親や配偶者への督促も始まりますので、家族にも未納の事実が知られることになります。

未払いだと配偶者や世帯主にも支払いの義務がある

あまり知られていませんが、あなたの配偶者や世帯主も連帯納付義務者として、あなたの国民年金保険料を連帯して納付する義務を負っています。

そのため、配偶者や世帯主の有無が住民票等の調査によって確認され、配偶者や親宛に、あなたに届いたものと同じ督促状と、連帯納付義務者に係る督促状についてという以下のような文面の書類が届きます。

連帯納付義務者に係る督促状について
国民年金保険料については、被保険者本人だけでなく被保険者の配偶者及びその世帯主にも連帯して納付義務が課せられています(国民年金法第88条)。
同封の督促状は被保険者に係る保険料ですが、被保険者ご本人からの納付がないため、連帯納付義務者であるあなたに督促いたします。
この督促状の指定期限日までに完納されないときは、被保険者本人の財産にとどまらず、あなたの財産についても差押えすることがあるほか、年14.6%の割合による延滞金が課されることとなります。
なお、一括して納付することが困難であるときは、指定期限日までにご相談ください。

もし、あなたに「連帯納付義務者に係る督促状について」が届いた場合も、無視してはいけません。

あなたの配偶者や子などが、国民年金保険料を支払っていないために発行された督促状なのですが、あなたにも支払いの義務があります。

督促状記載の期日までに支払いをしないと、あなたの銀行口座から未納分の保険料を差押される場合がありますので注意してください。

督促状が来たら本当に差し押さえされるの?

督促状は、最終催告状の記載期限までに保険料が支払われなかった場合に届きます。

督促状が届いた時点で、強制徴収の対象者となっているので、このまま無視し続けると差押が行われます。

「督促状」に記載された期限までに国民年金保険料が支払われなかった場合「差押手続き」が始まります。

今後は、延滞利息がかかるようになる他、すでに2年間の時効も停止されているので、今後は金額が膨らむばかりです。

早急に年金事務所に相談したほうがいいでしょう。

督促状は「払えるのに払っていないとみなされた人」に届く

日本年金機構は、市町村から所得情報を確認したうえで、督促状を発行しています。

強制徴収の対象者は「年金保険料を払うことができる資力を持っていながら、度重なる納付督励に応じていない人」です。

年金保険料を払うことができる資力とは、具体的にいうと、平成27年度は控除後所得400万円以上、平成28年度からは控除後所得350万円以上、平成29年からは控除後所得300万円以上の人です。

ちなみに、督促状発行件数は、平成24年度が約3万4千件で、平成25年度は約4万6千件と、年々増加しています。

未払い保険料を納付せず、支払いに関する連絡もしない場合、つまり、督促状を無視した場合には、財産の調査など差押の手続きに入ります。

銀行口座の入出金明細など資産状況の調査が始まる「差押予告」

日本年金機構から送られてきた督促状に記載された期限までに年金事務所に連絡せず、支払期限も無視すると、滞納になっている国民年金保険料を、差押により取り立てられます。

銀行口座などの財産が、差押をされる前に送られてくる書類が差押予告通知書です。

ちなみに、差押予告通知書が届いた時点で、あなたや同居の家族の銀行口座など、資産状況の調査が行われています。

日本年金機構から届く督促状に記載された期限までに、保険料の納付が行われない場合には、以下のような文面の差押予告通知書が送付されてきます。

差押予告通知書
下記の滞納保険料を徴収するため、あなたの財産の滞納処分(差押、公売)に着手することとなりましたので、予告します。

差押予告通知書には、いつ差し押さえるか、何を差し押さえるのかは書かれていません。

この時点では、未納分の全額を支払う以外に打つ手はありません。

差押予告通知書が届いた時点で差し押さえは決まっている

差押予告通知書が届いた時点で差し押さえを行うことは決定していますので、近日中に差し押さえが行われます。

支払いの意思が確認できないため、財産の差押や公売により滞納保険料を強制的に徴収することを予告する通知です。

最終手段である差押が行われるのは、時間の問題です。

差押は、国民年金保険料の未納分にあてるために行われます。

そのため、差押することによって確実に国民年金保険料を徴収できるかどうか、どのタイミングで差押を行うのが確実かなど、銀行口座の残高や入出金の状況を、銀行などに確認して、調査されています。

また、差押財産の調査対象は、本人だけではありません。

世帯主や配偶者などの国民年金保険料の連帯納付義務者全員が、差押財産の調査対象であり、差押も行われます。

差押予告通知書が届いたら事前連絡なく差押されます

銀行口座を差し押さえられるかもしれませんし、突然自宅にやってきて自動車を差し押さえるかもしれません。

なお、差押を行う場合にも事前連絡はありません。

銀行口座から差し押さえられた場合でも、通常は銀行からも連絡はありません。

実際に財産差押が行われた件数は、平成24年度が約6千件で、平成25年度は約1万件と増加の傾向です。

ある日突然やってくる国民年金保険料の「差押」

あなたや世帯主、配偶者に十分な所得や貯蓄があるにもかかわらず、国民年金保険料を支払っていないと判断された場合には、滞納処分として強制的に差押(さしおさえ)になります。

差押えは、日本年金機構が財産状況の調査を行い、差押予告通知書が届いた後、予告なく行われます。

差し押さえとは、未納となっている国民年金保険料を強制的に徴収されることです。最終手段である差押は簡単に行われるものではなく、日本年金機構が決めた悪質な滞納者の基準に当てはまると判断された場合に行われます。

差押予告通知書が送付された後は、事前予告なく財産差押が行われます。

差押される金額は、未納となっている年金保険料だけではなく、本来支払うべき日からの延滞利息を加えた金額です。

年金機構に何を差し押さえされるの

日本年金機構が行う財産の差押は、所得税などの国税の滞納処分にならって行うことができるとされています。

具体的には、銀行の預金や給与、売掛金、生命保険などの解約金や、自動車、貴金属等が差押対象です。

銀行預金の場合は、国民年金保険料の滞納分相当額を強制的に差し引かれてしまいます。

自動車や貴金属等は、差し押さえされた後に、競売等によって換金され、未納の保険料に充当されます。

また、本人の財産だけではなく、連帯納付義務者である世帯主や配偶者の財産が差し押さえされる場合もあります。

所得額が1000万円を超えているなど、悪質な年金滞納者とみなされた場合には、年金保険料の差押が国税庁に依頼される場合もあります。

差し押さえは毎日のように行われていて、差押が行われた件数は、平成23年度が約5000件、平成24年度が約6200件と増加しており、平成25年度は、約1万500件と、1万件を超えています。

お金がなくて年金保険料が払えないなら差押もされない

ここまで読んで怖くなった人がいるかもしれません。

国民年金保険料を払わないと、年金がもらえないだけでは終わりません。

「あなたに十分な所得や貯蓄があるにもかかわらず、国民年金保険料を支払わない場合」には、最終的に強制的な徴収が行われるルールになっているのです。

では逆に、あなたに「十分な収入や、預金や貯蓄、不動産がない」場合はどうでしょうか。

そもそも差押できる対象がなにもないわけですから、差押自体が行われることもありません。

つまり、国民年金保険料を払えない経済状態なら、差押まで行くことはないのです。

国民年金保険料の免除手続きをしよう

国民年金保険料を払わないだけでは、年金保険料は未払い状態となり、年金がもらえないという事には変わりありません。

「収入があるのに保険料を払わない人から差し押さえができる」ように、「お金がなくて保険料を支払うことが難しい人は、保険料を払わなくてもいい」という制度がちゃんと用意されています。

また、失業して一時的に収入が途絶えている場合や、アルバイトなどで収入の少ない20歳以上の学生にも、保険料の支払いを免除される手続きが用意されています。

3人に1人は減免や免除を利用している

国民年金加入者の3人に1人は、なんらかの保険料免除や猶予を受けていて、国民年金保険料を払っていないのです。

しかも、免除手続きをしている人は、国民年金保険料を払っていないのに年金がもらえるのです。

国民年金保険料を払っていないことには変わりありませんが、未納と免除は全く違います。

免除制度は裏技や抜け道ではなく、正式な救済措置です。

あなたも、未納になる前に免除手続きをしておきませんか?

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