国民年金と厚生年金はココが違う
すべての人に関係があるのに、意外と知られていないのが社会保障制度です。
社会保障制度のなかでも、特に、年金制度は老後の暮らしを支える大切な仕組みでありながら、国民年金や厚生年金のことを正しく理解している人はとても少ないようです。
年金制度は、老後の暮らしを支えるだけではありません。
病気や怪我で障害を負った時や、家族を残して死亡してしまった時のセーフティーネットの役割を担っています。
すべての人が自分のこととして、年金制度を知っておきましょう。
国民年金と厚生年金の関係
日本の年金制度では、自営業者や無業者も含め、基本的に20歳以上60歳未満のすべての人が公的年金制度の対象になっています。
国民年金は基礎年金ともよばれており、ベースとなる年金で、すべての人が国民年金に加入しています。
サラリーマンが加入する厚生年金は、国民年金に上乗せして加入する年金として、国民年金を含んだ仕組みになっています。
よく、厚生年金は「2階部分」と呼ばれるのは、このためです。
厚生年金の加入者は、厚生年金を通じて国民年金にも加入しているということを抑えておきましょう。
国民年金は自営業者が中心
国民年金の加入者は自営業者が中心で、第1号被保険者と呼ばれます。
厚生年金はサラリーマンが中心
厚生年金の加入者は、給与所得者いわゆるサラリーマンが中心で、第2号被保険者と呼ばれます。
公務員も厚生年金に加入している
これまで、公務員や私立学校の教職員は、国民年金でも厚生年金でもない、共済年金に加入していましたが、平成27年に厚生年金と統合されたため、現在では厚生年金に加入しています。
年金保険料の違い
国民年金も厚生年金も、保険料を負担する必要がありますが、その計算方法が違います。
国民年金は全員同額の保険料
国民年金の保険料は、全員同じ金額です。
収入や年齢などには関係なく、全員が同じ保険料を負担しますが、経済状況により保険料の負担が難しい人は免除を受ける事ができます。
厚生年金はお給料と連動
厚生年金の保険料は、お給料の金額と連動しています。
具体的には、お給料と連動して決まる、標準報酬月額によって、厚生年金の保険料は決まります。
標準報酬月額が高いと、保険料が高くなるわけです。
なお、厚生年金の保険料は、加入者と事業主が半分づつ負担しています。また、国民年金の保険料も厚生年金の保険料にふくまれており、厚生年金加入者全員分をまとめて払っています。
もらえる年金の違い
国民年金と厚生年金では、もらえる年金も違います。
国民年金は全員同額の年金
国民年金の支給額は、全員同じ金額です。
上限は同じですが、保険料の免除を受けていたり、未納があったりすると、その分減額される仕組みです。
厚生年金は保険料と連動
厚生年金で支給される年金は、払った保険料と連動しています。
標準報酬月額が高く、保険料を多く払った人は、より多い年金が貰えるというのが基本的な仕組みです。
当然ながら、国民年金よりも多い金額を受け取ることができます。
厚生年金のほうが手厚い
このように、国民年金よりも厚生年金のほうが手厚い給付を受けることができます。
厚生年金は、保険料の半分は事業主が負担しており、保険料の負担も少なくなっています。
なお、国民年金の加入者には、国民年金に上乗せして加入できる国民年金基金という制度が用意されています。